傘の見えざる進化について

傘は古くから沢山の人に利用され、現代においては雨を防ぐだけにとどまらず、ノベルティグッズや舞台装飾など様々な使われ方をするに至っています。
その形状ひとつ取ってみても、傘の長い歴史から既に完成されているといっても良い様式美を感じさせるものがあり、だからこそ非常に奥深いものとなっています。
具体的には機能面や素材といった部分であり、やや見た目には判別しにくいもの。
これらについては引き続き様々な進化を遂げているようです。

まず、傘において主要なパーツである骨。
骨は傘の形状を成すにあたって重要な役割を果たしており、アルミニウムやスチールといった頑丈な素材が用いられており、自然とその重量は大きいものになってしまっていました。
特に和傘タイプのような骨数が多いものはそれだけで重量が増し、取り回しにややコツがいるものも多くありますが、近年ではこれらの素材に代わるものとして、カーボン骨やグラスファイバーといった繊維強化プラスチックと呼ばれる素材が用いられるケースが増えてきています。
これらの繊維強化プラスチックは剛性を持ちながらも非常に軽量という特性を持ち、それを活かして様々な工業製品に採用されています。
ちなみに筆者が子供の頃にはミニ四駆のカスタムパーツとしても採用されていました。

傘の生地についても、あまり目立たない一方で非常に重要な改良が施されています。
特にビニール傘において主流だったポリ塩化ビニールと呼ばれる素材。
このポリ塩化ビニールは焼却した際にダイオキシンなどの有害物質を発生させるとして非常に大きな問題となり、これに代わるものとして新たなビニール素材が採用されるようになりました。
弊社で取り扱っているアイテムにもその名を冠す「POE」やビニール傘の持ち手部分に施されている<謎の刻印>として一時期話題になった「EVA」などがそれに当たります。
細かい性質については非常に専門的な内容になるため他に譲りますが、見えないところで数々の進化を遂げているのがこの「傘」というものなのです。

日常生活を送っていく中で必需品ともいえる傘。
これから我々の見えないところでどのような進化を遂げていくのでしょうか。
ひっそりと見守っていきたいと思います。