傘の中の小宇宙その名も「ろくろ」

こちらのコラムでは、不定期で「傘の部位」について取り上げておりますが、今回はあるパーツ、一箇所に絞ってご紹介したいと思います。
それはいわば傘の心臓部といっても過言ではない「ろくろ」と呼ばれる部分。

「ろくろ」とは、傘を開閉する際に重要なパーツであり、傘の大きさを決める「親骨」とその親骨を支える「受骨」をそれぞれ束ねるパーツです。
冒頭で心臓部という表現をしましたがこれはまさにその通りで、この部分がないと傘の開閉はおろか傘の形状を保つことができないため非常に重要な部位となります。
このろくろは弊社で取り扱っているような傘(いわゆる洋傘)はもちろんのこと、日本の伝統的な傘である「和傘」にも採用されているパーツであり、ここ日本ではこの部分だけを作る職人も存在します。

岐阜県では、和傘のろくろに用いる木材に「エゴノキ」という木を用いておりますが、その希少性や材木屋の廃業などによって、このろくろが絶滅の危機に陥ったという経緯もあるようです。
ちなみに現在はボランティアなどの有志団体によってこの伝統的なろくろづくりを後世に残すための取り組みがなされています。
この取り組みについては、インターネット上でも多く取り上げられておりますが、そこで写真とともに紹介されるそのろくろの精巧さにはただただ驚かされるばかりです。

今回こちらでご紹介したように傘のパーツひとつ取ってもかなり奥が深いということに気づかされます。
普段なんとなく使っている傘も、こんなふうにある一部にスポットを当ててみると、なんだかとても大事なものに思えてきますね。

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